決まり字の変化

決まり字を覚えた方は、次の段階へ進みましょう。それは、「決まり字の変化」を意識することです。

前回(「決まり字」を覚えることが始めの一歩)、百首全てに、その歌(札)を特定できる決まり字があることを説明しました。この決まり字というものは、実は状況によって変化する厄介なものであり、それゆえに、勝利を左右する重要な要素ともいえるのです。

初心者の方であれば決まり字を覚えるだけで十分です。しかし、初心者のレベルから抜け出して上達したいと思っている方にとっては、とても大切なことなので、しっかりと理解してください。

「決まり字の変化」を把握することで、より早い反応が可能に

まず、詳しい説明の前に、競技かるたのルールを簡単におさらいしておきましょう。

  • 競技かるたには自陣と相手陣がある
  • 出札がある陣ならば、どの札に触ってもよい
  • 出札がない陣の札に触るのは反則(お手つき)

このルールを踏まえて、いくつかの状況を考えてみましょう。

【状況1:自陣に「うかりける~」、相手陣に「うらみわび~」の札がある場合】

この場合、それぞれの決まり字が「うか」と「うら」になることは前回(「決まり字」を覚えることが始めの一歩)説明しました。今回は、この状況で「うか」が読まれた後に残りの「うら」がどうなるかを考えてみましょう。

「う」と読まれた時点で百首から「うか」と「うら」に絞られますが、既に「うか」は読まれています。競技かるたでは基本的に同じ札が読まれることはないので、「うか」の可能性はゼロです。そうなると、「うら」のほかには選択肢が存在しません。ということは、「う」と読まれた瞬間に「うら」と判断してよいのです。

つまり、最初に「うら」だった決まり字が「う」の一字に変化したといえます。これが「決まり字の変化」です。

なお、「うら」が「う」へと変化した直後に読まれればよいのですが、現実はそう都合よく進みません。別の歌(札)が何首(何枚)も読まれる可能性が高く、「うら」が読まれる頃には決まり字が「う」に変化していたなどすっかり忘れていることでしょう。この決まり字の変化を忘れることなく、しっかりと把握して最後まで覚えておくことが大切です。

【状況2:「うか」と「うら」が同じ陣にある場合】

今度は同じ陣に「うか」と「うら」があります。この状況で、「う」の一字だけを聞いて「うか」を取ったとしましょう。そして、実際に読まれた札が「うら」だった場合はどうでしょうか?

お手つき?

いいえ、出札と同じ陣の札に触れた場合、お手つきではありません。

出札は相手に取られるかもしれませんが、お手つきではないので「うか」の札を元の位置に戻せばよいだけです。ということは、この二枚の札はどちらも「う」で取ってよいといえます。二枚が並んでいれば、同時に払ったり触ったりして一度に両方取ることも可能でしょう。つまり、この二枚はどちらも「う」の一字決まりということができるのです。

これも「決まり字の変化」ですね。

ただし、この状況では、決まり字が長く変化する可能性があるため、注意が必要です。なぜかというと、二枚がそろった状態から片方だけ別の陣へ送られた場合、そろっていた時に「う」だった決まり字が本来の「うか」「うら」に戻ってしまうのです。つまり、状況1と同じになるのです。

状況1では、決まり字が短く変化したため、仮に変化したことを忘れていても本来の決まり字で取ればお手つきではありません。しかし、状況2では、決まり字が変化したことを忘れて「う」で片方を取ってしまうと、お手つきの可能性があります。よって、決まり字が短くなる場合よりも長くなる場合の方が、注意が必要です。

状況2で「決まり字が長く変化する」ことへの対応が難しいようであれば、あえて二枚そろった札を「う」と認識せずに、最初から「うか」「うら」と認識しておいてもよいでしょう。最初から無理に難しいことに挑戦するよりも、自身のレベルに合わせて、少しずつ対応できるようになっていけばよいと思います。

「決まり字の変化」に対応することは簡単ではありませんが、少しずつ、自分が意識し易いと思う札から試してみましょう。そうやって、少しずつ対応できる札を増やしていけば、いつの間にか、ほとんどの札の変化を把握できるようになっていることでしょう。