全身動作

初心者の頃は、構え方がぎこちなく暗記も曖昧なため、どうしてもゆっくりとした取りになってしまいます。そのような状態では、手だけを動かして取ることが多いのではないでしょうか?

しかし、上達するためには、手だけを動かすのではなく、体全体を動かすように意識する必要があります。

今回は、より早く札を取るための全身動作について説明します。

速く動くためには体全体を使うこと

競技かるたにおいては札を素早く取ることが必要ですが、単に手を動かしているだけでは早く取ることなどできません。なるべく体全体を使うように意識してください。

つま先や膝で畳を蹴り、腹筋・背筋で上体を支えながら、胸・肩・腕・指先へと力を伝えるように、全身のバネを活用してください。自陣下段などの手元の札であれば手を動かすだけでもよいでしょうが、相手陣に攻め込むには全身の力が必要です。

互いに、同じ反応速度・同じ手の速度だとすれば、札までの距離が近い方が有利です。ということは、同じレベルの相手であれば、いくら相手陣を攻めても距離が遠いため間に合わないということです。その距離の差に負けず、相手よりも早く札を取るためには、動く速度を上げる必要があります。動く速度を上げるためには、やはり手だけで動くよりも全身を使って動く方が効果的なのです。

まだ体が小さい頃に競技かるたを始めた方であれば、そもそも相手陣に手が届きにくいため、自然と全身を使って取ることを覚えます。しかし、ある程度体が大きくなってから始めた方は、意識しておかないと、ついつい手だけで取ろうとしがちです。

上達したいのであれば、絶対に全身を使って取れるようになるべきです。上級者の動作を見ていると、札を払った瞬間に立ち上がり、そのまま飛ばした札を拾いに行く場面が多いことに気づくと思います。あの動作は、立ち上がることを意識している訳ではなく、全身の力をうまく使い、構えた位置から札を払う位置までの体重移動が自然にできているからこそ生まれる動きなのです。自分の重心がどこにあるのかを意識し、札を取る際の力の伝え方・全身動作による重心位置の変化を考えながら取り組みましょう。

ただし、全身を動かすといいましたが、頭の高さだけはなるべく変えないように気をつけましょう。出札の位置に合わせて前後左右に素早く動くことが重要なのですが、上下の動きが加わると重心の位置が安定しないため、スムーズな前後左右への体重移動ができません。また、目の位置が上下することで視点が合わせづらくなり、札を見ることが難しくなります。

たまに、構えた時点で極端に上体が高かったり低かったりする選手を見かけますが、「よくあれで取れるな」と思いながら見てしまいます。自分自身が動きやすい構え方が一番ではありますが、上達のためには、頭(目)の高さを一定に保てるような構え方をおすすめします。

なお、全身で札を取りにいけるようになると、副産物として「相手の感じを消す」効果が出てきます。みなさんも相手が飛び込んできた際に、虚を突かれて固まって動けなくなったり、焦ってお手つきをしたりと、相手の重圧に飲まれて普段の動きができなくなった経験があるかと思います。それこそが「感じを消された」状態なのです。

このように思わぬ効果で勝敗が左右される可能性もありますので、やはり全身を使って札を取るように心がけましょう。