お手つき

競技かるたでは、相手よりも早く札を取ることが勝利への条件といえますが、早く取ろうとすればするほど「お手つき」が増えてしまいます。お手つきが多くて悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回はお手つきを減らすためにできることを考えてみましょう。

お手つき対策には状況を整理すること

そもそも、お手つきとはどのような状況で発生するのでしょうか?

  • (1)決まり字前に触ってしまう(「しの」が読まれたのに、「し」を聞いただけで「しら」に触る)
  • (2)友札の判断が曖昧(自陣の「しの」が読まれたのに、相手陣の「しら」を触る)
  • (3)元の位置に触る(相手に送った札が読まれたのに、送る前に札があった場所に触る)
  • (4)前の試合の暗記が残っている(空札にも関わらず、前の試合でその札が置かれていた場所に触る)
  • (5)似た形の札を触る(「つき」が読まれたのに、「はなの」に触る)
  • (6)上段を取る際に両方の陣に触る
  • (7)相手の動きに釣られる
  • (8)違うと分かっても手を止めたり避けたりできない

このように、少し考えただけでも次々とお手つきの状況が浮かんできます。お手つきの状況がいろいろあるということは、当然ながら対策の仕方もいろいろあるということです。一口にお手つき対策といっても、状況に応じて内容が変わってくるのです。

しかし、お手つきが多いと悩んでいる方でも、状況ごとの対策を考えている方は少ない気がします。確実にお手つきを減らしたいのであれば、自分の状態をしっかりと把握して、効率のよい対策を行いましょう。

お手つき対策の一例として、次のようなものが挙げられます。

  • 読みをしっかりと聞く
  • 早く飛び出さずに決まり字まで待つ
  • 暗記を確実に行う
  • 相手の手を見ない、または相手の手をよく見る
  • 出札に集中する、または全体を見渡す
  • 札との距離感を体で覚える
  • 札を払う練習だけでなく、避ける練習も行う
  • 焦らない
  • 失敗を気にしない

「読みをしっかり聞く」は、基本中の基本ですね。これができないと(1)のお手つきが増えてしまいます。

「決まり字まで待つ」も(1)のお手つき対策として有効です。

「暗記を確実に行う」は、ほとんどのお手つき対策として有効です。やはり競技かるたにおいては暗記が重要です。暗記時間にしっかりと覚えても、札が減ったり動いたりする試合中にずっと正確な暗記を保つことは困難なため、常に暗記を見直しながら頭の中を更新し続ける必要があります。その暗記が確実であればあるほど確信を持って札を取りにいけるため、前の試合の暗記や相手の動作に惑わされることもなくなるでしょう。

なお、どうしても相手の動きに惑わされる方は、どのような動きに惑わされるのかを細かく分析してみましょう。突然視界に相手の手が現れて反射的に動いてしまうのであれば、「最初から相手の手を見ておく」ことや「全体を見渡しておく」ことで解決できるかもしれません。逆に相手を気にしすぎているのであれば、畳や札の一点を集中して見たり、逆に全体をぼんやりと眺めるように見たりするとよいかもしれません。

いっそのこと、目を閉じてみるという方法もあります。最初は怖いかもしれませんが、札との距離感が分かっていて、しっかりと暗記が入っていれば割りと普通に取れるものです。ただし、見えないからこそ相手の動きに敏感になりすぎて慌てて反応することもあり得ます。逆に、相手の動きが全く分からずにぶつかってしまい、痛い思いをすることもあり得ます。目を閉じる場合、最初は軽く様子をみながら行い、絶対にけがをしないように気をつけてください。

「札との距離感」や「避ける練習」も基本的なことです。素振りの練習で札との距離感を体に覚え込ませることはもちろんのこと、札を払う練習の際に、あえて払わずに避ける練習も取り入れておきましょう。

「焦らない」「失敗を気にしない」は非常に難しいことです。これらは技術的なものではなく、精神的な要素が大きいからです。では、どのように対処すればよいのでしょうか?それは、勝ちを意識しないことです。

勝ち負けを競う競技において「勝ちを意識しない」というのは矛盾しているようですが、精神面を考えるとかなり重要なことなのです。対戦相手の実力が自分より上でも下でも、もちろん同じ実力でも、勝ちを意識することが緊張や焦りにつながり、自分の実力を出しきれない原因となることがあります。

多くの経験を積んだ上級者の戦いであれば、勝ちたいと思う気持ちを強く持つべきでしょうが、初・中級者のレベルでは、勝ちたいと思う気持ちは邪魔になることが多いのです。勝つことよりも上達することを第一に考えましょう。

上達することが第一の目標であれば、試合中に大差をつけられようが、お手つきを連発しようが、焦ることなどありません。成功も失敗も、全てが良い経験・良い勉強となり、冷静にその状況を受け止めることができるはずです。そうやって冷静に状況を分析し、自分の精神状態や技術的な問題点を知ることで、次の練習や試合に向けての課題が生み出されます。その課題を一つ一つクリアすることが、自らの上達につながっていきます。

以上、いくつかの対策を挙げましたが、これらの対策を施すためには、先に自分のお手つきの傾向を把握することが必要です。傾向を把握するためには、やはり記録を残すことが一番です。試合が終わったら、忘れないうちにメモを残しましょう。どの札に触ったのか?読まれた札は?札を動かした影響は?暗記が曖昧だったのか?相手に釣られて慌てたのか?など、その時の状況をできるだけ細かく記録しましょう。

もちろん、誰もがいろいろなお手つきをしているものであり、すぐにどのような傾向とはいえないかもしれません。それでも、記録がたまるに従って「お手つきし易い状況」というものが見えてくるはずです。そうやって自分の傾向を把握することが、それに応じた対策を講じることの第一歩なのです。

お手つきが多いと嘆いている暇があったら、少しでも記録を残すように心がけましょう。

なお、プロ野球選手がエラーをしたり、プロサッカー選手がシュートミスをしたりするように、競技かるたの上級者であってもお手つきが無くなることはないでしょう。勝利を目指してギリギリの戦いを行っているからこそ起こるミスもありますので、あまり神経質にならず、むしろ積極的に手を出している証だと思って、のびのびと取ることも大切だと思います。